福祉業界は離職率は高いと聞きます。
これは同時に転職率の高さも表しているのではないでしょうか。
業界内での転職の理由として、
- 介護福祉士からケアマネになりたい。
- ケアマネとして職場を変えたい。
などなど、理由は人により様々かと思います。
今回は私がケアマネの募集枠で就職活動を行い、実際に入職後に感じた事などをご紹介してゆきます。
最初に
ケアマネに限らず、転職の先に求めるのモノのひとつとして収入があります。
折角意を決して転職に踏み切っても、前職よりも条件が悪くなっては意味がありません。
また、業務内容についても募集要項と現実とで差異があった場合、どうしても士気の低下に繋がります。
これは有名な転職サイトを使用した場合であっても注意が必要となります。
転職サイトでの募集については、転職サイトの担当者と求人を掛ける法人の担当者間での相談・調整が行われるのですが、どうしても細かい額面や手当ての部分では実際に異なる場合があります。
転職サイトとは言え万能という訳ではなく、どうしても細かなヒューマンエラーは起こり得るのです。
※実際に私が経験しています。
ここからは私が転職をした時に、実際に失敗して感じた事を踏まえて今後の対策として纏めました。
これらの対策としましては、主に雇用条件や業務についての確認となりますので、面接の際にしっかりと確認しておきましょう。
給料について
転職をする際に一番重視するポイントとして考える方は多くおられるかと思います。
この部分で揉めると、お互いにメリットはありませんので少し神経質になるくらいの方が良いでしょう。
法人によりこの基準は様々ですので、入職前には正確な情報収集が必要となります。
給料の内訳
月々のお給料を構成する材料は法人や事業所により異なります。
多くの場合は、
- 基本給
- 職務手当
- 業務手当
- 資格手当
- 処遇改善金
- 皆勤手当
などで構成されています。
これらのお給料の構造を確認しておく事で、年収ベースで先を考えることが出来ます。
また、基本給はボーナスの素材となりますので、基本給はなるべく高く設定されている場合は金額面では有利となります。
言い換えると、手当が充実していても基本給が少ないと年収が下がってしまう。。。といった事態に陥ります。
その他、退職金の有無や福利厚生についても確認しておきましょう。
『お金の事は聞き辛い💦』と感じるかもしれませんが、今後の生活を大きく左右する数値となるので、失礼の無い様に確認しましょう。
また、可能であれば雇用契約者とまでいかずとも書面を発行してもらう事も効果的です。
担当するケアプラン数で手当が変動する場合
ケアマネの給料形態で特殊なのがこの担当件数と呼ばれるものです。
事業所の実情や自分の経験・技量にもよりますが、入職直後からMAX件数を任されるといった事は少なく、徐々に担当件数を増やしてゆくといった流れが多いのではないでしょうか。
この担当件数を充てにし過ぎると、希望の収入に届かなくなった場合に大きな痛手となります。
対策と注意点としては、
- 介護度別に担当件数が何人からいくら手当が発生するのかを、就業規則に吟われている部分を確認する。
- 前ケアマネから直接引き継ぎがなく、管理者など他のケアマネから引き継ぎがある場合は要注意。ケアマネが退職する理由は『何かある』ので。
- 募集要項はあてにならない。
となります。
実際に入職して、すぐに何人担当させてもらえるのか?を確認しておかないと収入が減ってしまうので要注意です。
「実力主義」「あなた次第」は危険
よほどの経験・技量を持ち合わせている場合は話は変わってくるかもしれませんが、面接官からこれらのフレーズが出た場合は非常に危険です。
この場合、結局は事業所の都合で動かされる事が殆どですので、よほど経験・技量がないと給料は保障されないと思った方が良いでしょう。
仕事内容について
法人や事業所により、ケアマネが行う業務は異なります。
もう少し具体的に言うと、
ケアマネ業務以外の業務があるのか?
という事です。
場合によっては身体介護の現場の兼任があったり、施設運営に関わる業務はケアマネが行う、といった風習がある事業所について自分がどう感じるかという事になります。
その他、よくある例では
それはケアマネが~(‘ω’)
が口癖でとサラッと仕事を押し付けて任されてしまう場合もありますので、これも事前に詳細を確認しておきましょう。
兼任がある場合
最近はケアプランセンターが施設に併設されている事業所が主流となっています。
ここで施設勤務の場合、現場の兼任があるか否かが非常に重要になってきます。
ケアマネは施設入所されている利用者にも定期的なモニタリングや情報収集の為に随時訪問する事となります。
その為、身体介護の現場が人手不足な場合はどうしても助っ人として駆り出される事があるのです。
これが突発的な対応などであれば良いのですが、タチの悪い事業所では
ケアマネも身体介護要員として数えられる
事が多いので、自分の業務に支障を来す事が少なくありません。
また、居宅のケアマネの場合であっても、定期巡回随時対応型訪問介護看護など兼任がある程度認められているサービスを提供している事業所の場合も危険と言えます。
ケアマネの業務範囲
先程お話した身体介護の兼任と似通った部分でもあります。
居宅・施設に限らず、受診の付き添いや介護保険サービス以外の部分での
- 実際にケアマネが対応した事例
- 法人の理念で日常的にケアマネが対応している部分
を確認しておきましょう。
施設であっても訪問型の介護を行っている場合、介護職員は行える業務範囲は定められています。
具体的には利用者の自宅内(敷地内)のみの介護しか行う事が出来ません。
その為、ケアマネはどうしても訪問介護以外の対応要員として対応せざるを得ない場面が多々あるのです。
ケアマネの業務範囲以外での残業
先程は兼任の部分について触れましたが、それらの業務において残業が発生してしまった場合、
・基本的に残業と認められるか?認められないか?
・認められるとすれば、何時間まで、どの範囲までか?
この2点を確認しておきましょう。
これは最初にしっかりと確認しておかないと非常に厄介です。
何故なら介護職員の場合は、ある程度業務範囲はシフトで区切りが付けられていますが、ケアマネは際限なく仕事に追われる事が多いからです。
中には『ケアマネとしての技量次第や』と考える方もおられるでしょうが、物理的に無理な事やスケジュールに現実味がない事が多いです。
どれだけ残業してもお給料に反映されない。
こんな状態が長期間続いてしまうと。。。
もう解りますよね💦💦
法人理念や思想について
法人理念や介護に関わる思想は実に様々です。
各法人の特徴、つまり力の入れどころです。
例として
- 利用者を家族と考える為、職員は私服で業務する。
- 排泄ケアの充実を図り、オムツを使用しない。
- 食に拘り、利用者と同じものを一緒に食べる。
などとなります。
一見素晴らしい取り組みと思われますが、実はこの
理念や思想の部分が一番ゴネる部分
なのです💦💦
法人独自の様式や思想の有無を確認する
ケアプラン作成において、通常の様式(全社協方式など)以外のものを使用したり、独特なサービスの展開や思想がある事業所は要注意です。
何故なら、何気無い一言が波紋を呼ぶ事があるからなのです。
人は考えるときは過去の経験や出来事を思い出します。
そしてその出来事を基準に物事を判断する事が多いと思います。
この様に、考える=思い出すといった課程から自分なりの答えを出して行動する訳ですが、そこで法人理念に少しでも外れてしまうと集中砲火を浴びる事があります💦
理念や思想が大事なのは解りますが、これを大袈裟に騒ぎ立てる人間も実在します。
それだけ普段から自分も我慢しているアピールにしか聞こえないのですが。。。
そんな訳で、理念や思想を題材的に謳っている法人についてはしっかりと把握しておき、少しの失言や隙を見せたり、といった部分は要注意と考えて下さい。
社内ライセンス
お給料についての部分にも関係する内容となります。
社内ライセンスがあり、そのライセンス取得で手当が発生する場合がありますが、この部分にも事前確認が必要です。
確認する部分は
入職して何年目にライセンスの受験資格が発生するのか?
と言う事です。
求人をかける際、法人は福利厚生の部分を募集要項として掲載しますが、実は社内ライセンスなどの法人独自の取り組みについては詳細までは掲載されていない事が多いのです。
ですから、面接の金銭闘争などの場面で社内ライセンスを取得した手当ての部分を最初から充てにしていると、後になってとんでもない事実として発覚するのです💦
私の場合、確認を怠ったがために入職後に
『社内ライセンスの受験資格は入職3年後やで』
と聞かされ悔しい想いをしました。
食事代
毎日の食費は少しでも節約したいものです。
しかしながら、『利用者と同じものを~』といった方針の事業所の場合、節約が困難となります。
勿論この場合は職場で食事を強制的に注文するはめになるのですが、会社側から多少の補助はあったとしても自分で用意した方が圧倒的に安く済ませれる事も多いです。
私の場合、一食¥500が強制的に必要となりましたので1ヶ月の食費は結構なお値段となってしまいました💦
更には休憩時間も削るはめにもなりますので、必ず事前に確認しておいてください。
地域包括ケアシステム
厚生労働省が推奨しているものです。
簡単に言うと、
たとえ認知症の高齢者でも自宅で生活が続けられる様に、介護保険以外の部分である地域住民の人達の理解や協力を得て、財源の圧迫をお前らがやめさせろ皆ハッピーになろうぜブラザー!!!(*´Д`)
ってやつです。ブラボー。素晴らしい。涙が出ます。
最近ではこの素晴らしい国の取り組みを法人がイキッて賛同して稼働させているところも数多くあります。
さて、この地域包括ケアシステムを実際に稼働させるに際しては、法人とそれを取り巻く地域住民の触れ合いが必要となります。
具体的には
- 地域住民に向けた介護に関する勉強会の開催。
- 事業所の一部を解放し、地域住民のコミュニティの場とする。
- これらの資金集めのため、地域住民に協力金をお願いする。
- 近隣で済んでいる高齢者に何か変わった様子や困り事などが無いかヒアリング。
などがあります。
福祉を生業としてのこれらの活動は素晴らしい事なのですが、それらの多くはケアマネが担う事が多くなります。
そこに生じる不具合としては、
・地域交流会の開催など、ケアマネ業務以外に業務が発生する。
・法人の理念と自分の考えに差違があった場合、仕事に集中できない。
・地域の相談役として幅広く対応する事となる。
などがあります。
業務内容や残業にも関わる事ですので、法人独自の取り組みについても事前に情報収集が必要となります。
自分はどのタイプ?
これまでにご紹介してきた部分は法人が中心でしたが、ここでは自分(あなた)について少し考えてみましょう。
中には非常に器用な方もおられるでしょうが、私が感じた部分について少しお話してみます。
ケアマネとして居宅向きか施設向きかを考える
ケアマネはご存知の通り2種類ありまして
- 居宅ケアマネ
- 施設ケアマネ
があります。
この2つのケアマネについてですが、私が違いを感じた事は
- 居宅ケアマネは保険外の社会資源も使用して、高齢者の自宅での生活の幅を広げる事が出来る様に考える。
- 施設ケアマネは施設内の資源をフル活用し、その枠組みの中でどれだけ出来るかを考える。
でした。
同じケアマネと言う職種ですが、場所が変われば役割も大きく異なるんですね。。。
その為、施設(特養)出身の私にとって居宅ケアマネは根本的に目指すものが違うんだな、と犇々と感じたのです。
そんな訳で、これからケアマネとしての就業を目指している方にお伝えしたいのは2点ありまして、
・自分が在宅と施設のどちら出身かを考える。
・自分の介護に対する考えやビジョンを考える。
となっています。
巷では『施設ケアマネの方が楽!』の様なフレーズをよく耳にしますが、周りの声に惑わされる事なく一度自分の介護に対するスタンスを見定めてから行動に移す事を強くお勧めします。
最後に
今回の記事は転職を経験している方であれば共感して頂ける部分もあったのではないでしょうか。
いざして入職して、これからと言う時に
話が違う(*`Д’)
となっては全てが水の泡ですよね💦
そうならない様に、面接時には募集要項の内容を細かい部分まで確認する必要があります。
また、言った言わないの水掛け論とならない様に、ICレコーダーなどでやり取りを保存しておくのも1つの手段です。
転職の際は
- 自分が求めるものは何か?
- 何がどこまで必要なのか?
- 足らない部分をどの様に交渉するか?
- 交渉の為の自分の武器はあるのか?
- 交渉の内容をどの様に証拠として残せるのか?
など、特にお給料面では数字として明確に自分に合った条件を定めておく必要があります。
そうしないと、都合良く使われてしまいますのでね💦
そう考えるとこれらに付随して、転職時期や自分の年齢なんかも見直す必要がありそうですね。
また、最近では働き方改革法が施行されました。
これはこれまでの労働者の環境や条件を見直すためのものであり、実に70年振りの労働基準法の改正となります。
こういった前向きな社会情勢の改革がある反面、どうしても適切な事業運営が行われていない法人や事業所は数えきれない事でしょう。
自分の求める条件以外にも、こういった根拠法についても日頃から意識しておく必要があるかと思います。
コメント