福祉業界に関わらず、サービス業をはじめとする様々な業種において悩みの種となるクレーム対応。
法人の名誉に関わる大きな事例もあれば、『え?そんなことで?』と耳を疑うようなつまらない事例など、その内容は多岐にわたるのではないでしょうか。
そして福祉業界、特に身体介護の現場では直に高齢者と関わりながらの業務となる為、時に理不尽な要求を受けたり、暴言・暴力などを受ける事も決して珍しくはありません。
そんなクレームへの必要な心も持ち方や、立ち振る舞いなどを纏めました。
最初に
クレームの内容にもよりますが、身体介護の現場、つまり介護施設における利用者から介護職員へのクレームの多くは冷静に考えれば驚くほどしょうもない事です。
そんな何の生産性もない話題に巻き込まれた挙げ句、時間と労力を消費し、上司に必死に弁解するスタッフの姿を見てあなたは何を感じるでしょうか?
決して見栄えの良い姿と思わないでしょうし、何より場の空気が乱れます。
ポイントを述べると、施設内で発生したクレームは
- クレームを受けた本人が思う程に大袈裟なものではない。
- 迅速に対応すれば十分解決できる。
- やり方によっては高評価に繋がる。
と思います。
クレームがあったと聞くと、どうしても士気は下がります。
時には怒りが込み上げてくる事もあるでしょうが、まずは問題解決のみを意識する事が肝心なのです。
クレームの原因
クレームの原因として、多くの場合が『言葉遣いが悪い』ではないでしょうか。
その他、似たような例では『上から目線で話す』『無視する』など、接遇面の未熟さが目立つように思います。
スタッフがこの様な態度を取ってしまう原因をいくつか挙げてみます。
- 利用者が認知症や精神疾患などが原因で、こちらの話を聞かない・伝わらない。
- 認知症などに罹患していないが、傲慢な態度でスタッフに接してくる。
- スタッフに対して暴言・暴力行為がある。
- 訴えやナースコールが異常に多く、待つことが出来ない。
- 利用者が取り決めや約束事を守らない、言った事を簡単に覆す。
- そもそも当該利用者と相性が悪い。
ざっくりとですが、以上の様な例があるかと思います。
いずれもこちらの神経を逆撫でされる様に感じますし、円滑な業務の妨げにもなり得るので非常にストレスに感じますね💦
やってはいけない事と対応方法
さて、いざ自分がクレームのターゲットとなってしまった時にやってはいけない事があります。
クレームと言うからには、その内容が利用者から上司の耳入っており、事実確認をされる事となるでしょう。
その時、絶対に避けるべきポイントは
- 感情的になり弁解をする。
- 原因が利用者側であることを強く主張する。
以上の2点です。
それではこの2点について、その理由と対応を述べてゆきます。
感情的にならず事実を述べる
上司に事実確認をされた場合、クレーム元の利用者への怒りが先行してしまいがちです。
そこで感情のままに話を進めてしまうと、話の論点にズレが生じます。
思いの内を思うがままに吐き出す事が目的ではありません。
目的はまず上司に事実を理解してもらう事です。
理解してもらう為には物事を正確に伝える必要があります。
自分の感情はさておき、落ち着いてゆっくりと当時の出来事を伝えましょう。
原因は自分にあると割り切る
どんなにこちらの筋が通っていても、クレームに繋がったという事実は覆す事はできません。
前項と同じくクレーム元の利用者への怒りを先走りさせる事なく、一旦自分の感情とは分けて考える事が重要です。
例として上司には
『ご本人にはしっかりとお話が出来たと思いますが、そもそもクレームに繋がったという事が問題だと思います。
今回の件をご本人にはしっかりと謝罪し、そして今後の関係性の改善や保持に務めてゆきたいと思いますので、一度間に入ってお話を進めて頂けないでしょうか?』
といった趣旨の話をしましょう。
ここのポイントは
- 反省の姿勢を示し
- 更に協力を仰ぐ
というところです。
対応のまとめと注目すべきポイント
前項ではクレームに対する捉え方や必要となる立ち振る舞いを述べました。
ここで何か気付く事はありませんか?
それは利用者よりも上司に注目しているという事です。
介護リーダーをはじめ、ケアマネ、そして更に施設長ともなれば平社員に比べると膨大な仕事量と責任を負わされています。
常に人手不足な施設であれば管理職と言えども現場での身体介護を兼任せざるを得ない、といったことも少なくはありません。
そんな中、利用者からのクレーム対応などのイレギュラーな仕事については正直手早く済ませたいと考えている上司が殆どなのです。
そこで部下の言った・言わないの水掛け論に多大な時間・労力を注ぐのは決して効率が良いとは言えません。
以上の事から、クレームについて上司から声をかけられた時は冷静に応じ、
- 反省の姿勢を示し
- 協力を仰ぎ
- 問題の解決後は感謝の意を表す
この3つのステップを踏むことで、クレームを受けたというマイナスな要素を払拭でき、更に上司からの評価を上げることが出来るのです。
考え方としては
小さな問題であっても大事と受け止め、真摯に対応する姿勢を見せることです。
これは人間的に癖のある上司や余裕のない上司に対しては特に有効ですので是非実践してみて下さい(^^)
クレームを受けた場合
これはつい最近起こった私の体験談となります。
結論から言うと、前項でお話した通り
- 反省の姿勢を示し
- 協力を仰ぎ
- 問題の解決後は感謝の意を表す
の3つのステップを経た事で、今では当該利用者とは非常に良い距離感を保ちつつ、上司との関係性も良好となっています。
経緯はこうでした。
- 利用者のAさんが自分の過失に腹を立て、スタッフ(私)に責任転換をする。
- 暫く話を傾聴した後、『今後Aさんはどうしたいのか?』『今後スタッフはどう援助すれば良いか?』『今回の出来事を有耶無耶にせず、しっかりと取り決めを行いたい』といった趣旨の話と提案をする。
- その場でAさんは自分で決定する事が出来ず、自室に戻られる。
- 後日Aさんが事務所に来られ、『スタッフ(私)が偉そうに指示してきた。』『スタッフ(私)に暴言を吐かれた。』『ここの教育はどうなっているのか』と上司にクレームを入れる。
- 上司より事実確認の為、声を掛けられる。
となっています。
- 反省の姿勢を示し
➡クレームにつながった事を上司に謝罪し、利用者にも謝罪したい旨を伝える。 - 協力を仰ぎ
➡第三者に介入してもらう事で、お互いの解釈の相違を防ぎたい旨を伝える。 - 問題の解決後は感謝の意を表す
➡Aさんとの和解後は上司に協力頂いた事についてお礼を言う。
以上の流れでクレーム処理は僅か1時間ほどで解決しました。
今ではAさんとの関係も良好ですし、もちろん上司との関係性も良好です。
そんな訳で、上司の協力もあり今も同じ職場で快適に働いています(^^)
最後に
高齢者は罹患する病気や精神状態にもよりますが、スタッフとの関係性が拗れそうになった場合は非常に攻撃的になられる方も少なくはありません。
自分がどれだけ真摯に対応していようが、
高齢者にとって自分に都合の良いスタッフが良いスタッフ
なのです。
このフレーズだけに注目すると非常に残念な事なのですが、これは高齢者の特有の防衛本能だと言えます。
そんな場面で全ての出来事に対して神経を尖らせていては、身が持ちませんし、心も病んできます。
そんな時こそ心の無駄遣いはせず、冷静に対応する方が賢明なのではないでしょうか。
利用者には潔く負けてあげましょう。
協力をしてくれた上司には感謝しましょう。
言った・言わないの水掛け論では何の生産性もありません。
どうせならクレームを逆手に取り、自分に利に結び付けましょう。
利用者だけでなく上司にも花を持たせる事で、クレームと言う負の要素を高評価に結び付ける事ができるのです。
クレームを受けた時は、誠実かつ腹黒くが鉄則ですよ(*’ω’*)
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