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老人ホームの実地指導。事前の準備物や内容を把握しておきましょう!

介護保険サービスを提供する施設が避けては通れない行政の実地指導。

「実地指導」と聞くと思わず身構えてしまう方も多くいらっしゃるかと思います。

 

この実地指導を経験された方はまだしも、未経験の方にとっては大きな不安が伴いますよね💦

 

そこで今回は 

  • 実地指導とは何なのか? 
  • 実地指導の内容を知りたい。
  • 実地指導に必要となる時間は?
  • どんな部分を確認されるのか?

という方は必見です。

 

今回は私が新設の住宅型有料老人ホームで経験した初回の実地指導の内容とその結果、つまり実際にご指摘があった内容をお話してゆきます。  

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目次

最初に

そもそも実地指導とは何なのか?

と疑問を持たれている方も多くおられるかと思います。

まずはこの実地指導の概要を簡潔にお話します。

実地指導とは

介護保険サービスを提供する事業所として法令遵守が行えているかを行政が確認・指導を目的に当該事業所に訪れることです。

実地指導の通達

多くの場合1~2週間前に行政から通達があり、実施の日時を指定されます。

通達には当日に必要となる資料などが記載されていますので、当日までに準備が必要となります。

また、場合により事前に提出を求められる資料もありますので注意しましょう。

実地指導に掛る時間 

私の場合は当日は午前9:30より開始され、終了は午後16:30頃でした。

(間にお昼休憩1時間あります)

多くの場合、半日から丸一日の時間が掛かる様です。

実地指導員について 

当日は保険者の指定・指導グループの検査員さんが4名来訪され、多重チェックが行われました。

実地指導の内容

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指導される内容はいくつかの項目に細分化されており、各項目を確認される流れとなります。

  1. 基本的事項
  2. 規模及び構造設備
  3. 職員の配置等
  4. 施設の管理及び運営
  5. サービス
  6. 利用料等
  7. 契約内容等
  8. 苦情解決・事故発生の防止及び発生時の対応
  9. 情報開示
  10. その他

以上10項目が問われます。

(保険者により内容は若干変わります) 

基本的事項

入居者・ご家族に対して施設運営について理解を得る様に努めているかが問われます。

規模及び構造設備

当該施設は、耐火建築物又は準耐火建築物であり、かつ建築基準法や消防法等に定める設備を十分設けているかが問われます。

 

これは建築物全体の構造について、また消火栓やスプリンクラーの有無などとなります。

また、緊急通報装置(ナースコール)の有無や、入居者の保健衛生の保持に適した構造となっているか、なども問われます。

職員の配置等

入居者目線では、入居者数に応じて適切な人員配置が行えているか?

職員目線では、研修は行えているか?衛生管理が行えているか?

などが問われます。

施設の管理及び運営

管理規定の制定や緊急時の対応、医療機関との提携の方法や運営懇談会の有無が問われます。

サービス

施設が行う食事の手配・提供や金銭管理、また身元引受人への連絡方法などが問われます。

利用料等

施設の居室代、つまり家賃の設定基準などが問われます。

その他、敷金受領時や原状回復費について国の定めるガイドラインに添っているかが問われます。

契約内容等

入居に際しての契約について問われます。

契約書や重要事項説明書の作成と、利用者への十分な説明とご理解が得られているか等となります。

苦情解決・事故発生の防止及び発生時の対応

苦情処理体制を整備しているかが問われます。
苦情処理の仕組みや外部の苦情処理機関について入居者に周知されているのか、また、事故の状況及び事故に際しての記録の有無が問われます。

情報開示

重要事項説明書、契約書、管理規程等を公開し、求めに応じ交付しているのかが問われます。

その他

介護保険サービスと有料老人ホームとしてのサービスの区別について問われます。

職員の兼務関係や業務シフトが明確にされているか、となります。

指導(ご指摘)の内容

館内と関係書類の確認が終了すると、指定・指導グループの検査員さんは別室で暫く情報を纏められます。

この間20分程だったでしょうか。

その後、確認事項を基にご指摘を受ける事となります。

 

この項目では私が実際に受けたご指摘の内容をお話してゆきます。

以後、赤文字が指摘内容、黒文字が対応内容となります。 

基本的事項

専用区画について、居室から薬保管庫へ、相談室から更衣室に変更されていたが変更の届け出が行われていないので、速やかに専用区画の変更届を行うこと。

高齢者施策部へ各居室の用途変更の旨を届け出る事となりました。

規模及び構造設

消防設備の検査を適正に行うとともに、その記録を保存すること。

 

これについては施設の管理会社である不動産会社に依頼し、当該施設に消防設備を設置した業者に点検・検査を依頼してもらいました。

その後、検査結果の文書を提出しました。

 

医薬品や塩素系消毒剤等が施錠されていない場所に保管されていたので、入居者の誤飲等の事故防止の観点から施錠保管すること。

一般居室から薬保管庫として使用していたが、施錠がされていなかった為のご指摘でした。

日頃から施錠する事としました。

職員の配置等

有料老人ホームの職員として勤務表に配置されていない時間帯があるので、適切な職員配置を行うこと。または適切な表記をすること。

 

当時は訪問介護事業所のシフト表のみであったが、今後は有料老人ホームのシフト表も別に作成する事としました。

施設の管理及び運営

個人情報の使用同意について、入居者及びその家族から文書による同意が得られていなかったので、医療機関との連携時等及びその家族(原則施設で個人情報を所持し使用する家族全員)から文書による同意書を得ておくこと。

個人情報の使用同意書に不備のある利用者がおられたので、上記の医療機関との連携時等についても記載した同意書を新たに作成し、入居者全員分の同意書を揃えました。

不備の具体的な内容としては、同意書に記載されている社名が訪問介護事業所となっていたため、同意書の社名は管理会社である不動産会社に変更しました。

 

運営懇談会において、施設関係者及び入居者以外の第三者の立場にある学識経験者、民生委員を加える様に努めること。

 

設立後、運営懇談会が実施されていない事にご指摘がありました。

運営懇談会への参加は民生委員をはじめ、当該地域の自治会長であっても可との事でした。

また、参加が困難な場合はその理由(依頼からの経緯)を記録として保存し、提出する事となりました。

 

パンフレット等において広告を行う際は、施設名と併せて指針別表「有料老人ホームの類型及び表示事項」のとおり、類型に応じた表示事項についても併記すること。

パンフレット等による広告については「◯◯有料老人ホーム指導指針」を参照し、新たに作成し使用する事としました。

(〇〇は保険者名です)

 

パンフレットにおいて「訪問看護24時間体制完備」とされているが、訪問看護事業所と文書による協力契約が締結されていない。

訪問看護事業所との契約書の締結書面を作成する事としました。

サービス

入居者に対して健康診断を受ける機会を設けるとともに、周知した内容について記録として保管すること。

往診に来て下さっている医療機関に依頼し、定期的な健康診断を実施する事となりました。

施設としては、入居者全員分の健康診断への声かけから実施日時までを支援経過とは別に専用の記録を作成・保管する事としました。

 

請求書及び領収書について、食事代が訪問介護事業所の請求書に記載されていたので、これは不適切な為、有料老人ホームの請求書・領収書を作成し使用すること。

 

個人情報同意書と同じく、施設の管理会社である不動産会社の社名が記載された請求書・領収書を作成し使用する事としました。

 

金銭管理について、定期的に入居者又は身元引受人等に対し、収支の報告を行っている記録が整っていない。

管理規定に定めるとおり、入居者又は身元引受人に定期的に出納帳等を報告し、確認者の記録を保管すること。

施設が金銭管理を行っていた入居者について、収支の都度、出納帳に入居者の確認印の押印を求める事としました。

 

サービスの提供記録について、内容が不十分であった為、提供したサービスについて適切に記録を保管すること。

施設サービスにおける記録用紙に記入漏れがあった為、職員に注意を呼びかけました。

 

高齢者に適した食事を提供する為、栄養士による献立表を作成し施設の見やすい場所に掲示すること。

食事は専門業者に発注をしていましたので、業者に連絡し献立表を定期的に頂き、それを館内に掲示する事としました。

利用料等

指摘なし。

契約内容等

指摘なし。

苦情解決・事故発生の防止及び発生時の対応

重大事故(骨折)発生時に本市への報告が行われていない。

速やかに報告書を作成し提出すること。

骨折・縫合を伴う介護事故であった為、保険者のHPより様式をDLし作成。電話連絡した後に郵送しました。

 

苦情に対する記録が不十分であり、適切に記録し保管すること。

支援経過と併用していた為、ご指摘を受けました。

専用の様式を作成し、いつ、誰が、誰に、どんな苦情・相談を、どうなったか、を明確に記録する事としました。

情報開示

指摘なし。

その他

指摘はありませんでしたが、

  • 介護職員が医療行為を行っていないか。
  • 寝たきりで胃瘻の入居者の様子。
  • 訪問看護事業所の看護師に褥瘡の処置と記録の方法。

など、館内のチェック中に何点か質問をされていました。

最後に

施設設立後の初回の立ち入り検査という事もあり、指摘される部分はさほど深くまで追及されなかった印象を受けました。

 

とにかくダメ出しをされる、粗探しをされる、といった印象は無かったため、ここぞとばかりに指摘内容の改善方法をはじめ、関係行政機関などについても事細かに質問したところ、丁寧に返答を頂けましたので収穫は非常に大きかった訳です(^^)

 

特に高圧的な態度を取られたり重苦しい雰囲気ではなく、指導グループからすると

 

「どう?ちゃんとやってる?」

 

みたいなノリだったのでしょうかw

 

さて、これらの実地指導や監査については

満点はまず有り得ないのです。

歴史ある大規模な事業所において、数多くの実地指導や監査を乗り越えて来た所謂「やり手」の事業所、管理者と言えども、どうしても小さな指摘は受けてしまう様です。

 

「正解は無い」と言えば重苦しいかもしれませんが、国の定めるガイドラインに添ってゆけば概ね良好であると感じます。

 

保険事業を生業とするこの業界は、度々行われる法改正によって舵の取り方が大きく変化するのではないでしょうか。

今回の実地指導を経験するまでは「法令遵守に追われる」といったイメージが非常に強かったのですが、これ以降は「法令遵守を追いかける」に切り替わった様な気がします(^^)

 

何にせよ、適正な施設運営を行うに為には行政の協力を得る事も非常に重要になってきます。

 

関係書類の保管方法や、入居者や職員への対応、運営方法については

「実地指導や監査があるから」ではなく「より良い運営を目指す」が目的

 となりますので、日頃から意識して業務に取り組む事が大切だと感じました。

(実際はなかなか出来ませんが💦)

 

今回の記事は経験者の方からすれば、ごく当たり前の内容であったり、寧ろ説明不足な部分が多々あるかと思いますが、そんな方々をはじめ、実地指導の未経験の方や興味のある方にとって何かの力になれたら嬉しく思います(^^) 

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